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2022.12.16

今注目のリテールメディアってなに?注目される理由と事例

みなさんこんにちは、ビスコサイネージの渡辺です。
最近では、リアルとオンラインの垣根を超えたマーケティング施策の重要性が高まっています。アメリカでは、新たな流れとして、大手小売企業がデジタルサイネージなどの店頭メディアを活用した広告事業(リテールメディア)を立ち上げ、収益の多角化を実現しています。
そこで今回は、「リテールメディア」をテーマにアメリカと日本の事例やどんなことができるのかについてご紹介していきます。


リテールメディアってなに?

リテールメディアとは、小売店が独自に収集・所有する消費者の購買データやアプリ、ECサイトの行動データを活用して精度の高いマーケティング分析を行い、効果的に広告やクーポンを配信する手法のことをいいます。
広告媒体(メディア)となるのは、小売店舗に設置されたデジタルサイネージやECサイト、自社アプリ、LINE、メールなど、小売業が持っている顧客接点です。

リテールメディアを利用することで、それぞれのお客さんにパーソナライズしたコンテンツ、タイミング、手段でのコミュニケーションを実現し、より良い顧客体験の提供と購買につながる環境づくりが可能になります。
メーカー側は小売業が持っている幅広い顧客接点と顧客の購買データや駆動データを活用することで、より精度の高いマーケティング施策の実施、効果検証を行うことができるようになります。

▼リテールメディアでできること
・顧客行動を可視化し、データに基づいた販促施策のPDCAが行える
・オンライン/オフラインでの顧客接点を活かし、パーソナライズしたコミュニケーションが可能
・広告による新たな収益の創出


リテールメディアが注目されている理由

ではなぜ今、リテールメディアが注目されているのでしょうか?
その理由のひとつとしてあげられるのが、現在約6兆円を超えるほどの規模に成長しているアメリカリテールメディア市場の存在です。
市場全体の売上の約8割を占めているのがEC小売大手のアマゾンで、2022年2月に発表された同社の決算報告書によると、2021年12月期の広告サービス売上高は前年比32%増の約312億ドル(約4兆3960億円)となっており、広告事業が大きな収益源になっています。

そして、アマゾンに続くのがリアル店舗を持っているウォルマートです。
ウォルマートは、コロナ禍をキッカケに自社で開発した決済機能付きアプリのユーザー数を一気に拡大させ、圧倒的な規模で「リアル×デジタルの融合」を実現させました。
リアルとデジタル両方の顧客接点を獲得した同社は、データ活用の基盤を整えるために広告プラットフォーム事業「Walmart Connect」を構築し、収集した精度の高いマーケティング情報を活用して、商品やメーカーの広告を店舗やオンライン上で配信しています。

ウォルマートの2022年1月期の通期決算報告では、広告事業の売上高が21億ドル(約2940億円)と発表されており、広告ビジネスの収益化を成功させています。
同社の全体の売上高は5728億ドル(約80兆1920億円)なので、広告事業が占める割合はわずかに見えますが、リアル小売店舗がこれだけの広告売上を得ているという事実は、小売業界に大きなインパクトを与えました。


日本の小売業界の現状

これだけ注目を集めているリテールメディアですが、日本の小売業界をみてみると、店舗独自のメディアプラットフォームを持っている企業はほとんどいないのが現状です。
小売店舗で行われるプロモーションとしては、店舗の入口や店内の小さなデジタルスクリーン上に「本日のお買い得商品」の案内表示を行ったり、メーカーとタイアップして「○○社の商品を2割引きで1週間販売する」といったものが一般的ですが、こうした取り組みは客単価を向上させることはできても広告収入は生み出しません。
しかし、アメリカ小売業界の広告事業の成功を受け、日本国内の小売業界でも広告ビジネスを構築しようという動きが広がり始めています。

マーケティングソリューション事業を展開しているCARTA HOLDINGSが発表した「リテールメディア広告市場調査」によると、2026年には800億円を超える市場になると予測されており、今後の日本市場の成長に期待が寄せられています。
出典:CARTA HOLDINGS


日本国内のリテールメディアへの取り組み事例

そんな中、国内企業で先行してリテールメディア事業への取り組みをスタートさせたのがファミリーマートです。
老若男女さまざまなお客さんが利用する同社では、レジ上に大画面のデジタルサイネージを設置し、レジに並ぶお客さんに対して売れ筋商品の紹介やエンタメ情報、ニュースなど、幅広い情報を音声付き動画コンテンツで配信しています。

ファミリーマートに設置されているデジタルサイネージ

既に全国34都道府県の合計3,000店舗に設置が完了しており、1週間で約1900万人への接触が可能だそうです。
さらに2023年度中に設置可能な全店舗への設置を進め、規模を拡大していく方針であることが発表されています。訴求力の高さ、幅広い世代へのリーチといったコンビニエンスストアならではの強みを生かしたメディアとして、今後の活躍が期待されています。


オンラインとオフラインの広告

上段でリテールメディアに取り組んでいる企業の事例をご紹介しましたが、オンラインの小売企業と実店舗を構えている企業では、広告を配信するメディアに大きな違いがあります。
アマゾンのようにオンライン上でサービスを展開している企業は、サイト自体が広告配信メディアになりますが、ウォルマートのような実店舗ではデジタルサイネージなどのディスプレイが主な広告配信メディアとなります。

実店舗で効果的な訴求を行うためには、ディスプレイの数を増やしてユーザーへの接触率を高めたり、コンテンツ内容や配信方法を工夫してインパクトのある訴求を行うことが大切ですが、最近ではユニークなディスプレイが登場し注目を集めています。


限られたスペースでも訴求力抜群「シェルフサイネージ」

商品棚に設置できるシェルフサイネージは、棚に並んでいる商品の詳細情報や価格、プロモーションコンテンツを配信することができます。
限られたスペースでの訴求になりますが、従来の紙の値札に比べてインパクトのある訴求が行えるのでお客さんの注目を集められます。
複数のコンテンツを切り替えて表示できるので、売上向上や商品PRにも効果的です。
シェルフサイネージ

冷蔵庫がスクリーンに?アメリカ発の最新メディア「クーラースクリーン」

シカゴに拠点を持つCooler Screen社が提供しているのが、小売店舗の冷凍・冷蔵食品棚のガラス扉という大きな面積を利用したクーラースクリーンです。
モーションセンサーやカメラを使って、棚に陳列されている商品の詳細情報や価格、お買い得商品、ブランド広告を表示することができます。
クーラースクリーン 出典:Cooler Screens


この技術は、実店舗の小売企業に新たな広告配信メディアを提供し、消費者には今までにないショッピング体験の提供を可能にします。
同社のHPによると、現在700店舗、約1万台のスクリーンがさまざまな店舗に導入されており、毎月9000万人以上の消費者に視聴されているそうです。
出典:Cooler Screens商品の詳細情報確認、外気温に合わせたプロモーションも可能


まとめ

以上、今回はリテールメディアをテーマに現状や事例などをご紹介しました。
日本の小売業界でも広告事業が注目され、さまざまな企業が取り組みを始めています。
これから、日本でもリテールメディアの市場規模は拡大していくことが予想されているので、今後どのように成長していくのか目が離せません。

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