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2023.01.20

未来を変える「ワイヤレス給電」の仕組みと活用シーンについて

ワイヤレス給電イメージ みなさんこんにちは、ビスコサイネージの渡辺です。
電化製品や工場の機械、電車など、わたしたちの身の回りにある多くのものを動かすためには、電気が必要です。現在、給電はコンセントにつないで行うのが一般的ですが、ケーブルをつながなくても給電できる「ワイヤレス給電」という技術が発達し、いろいろな場面で活用が進んでいます。
今回は、わたしたちの生活をより便利にする技術として期待されている「ワイヤレス給電」についてご紹介していきます。


ワイヤレス給電ってなに?

ワイヤレス給電とは、ケーブルやプラグをつながなくても電力を送れる仕組みのことをいいます。
現在一般的なのが、電源ケーブルをコンセントにつないで電力を送る有線給電方式ですが、この方法はケーブルと電源プラグを接続する必要があるので、ケーブルの長さによって設置場所が制限されたり、配線がごちゃごちゃしてしまうというデメリットがあります。
ワイヤレス給電技術はこうした有線給電のデメリットを解消する新しい方法として注目を集めており、様々な分野で実用化が進んでいます。

ワイヤレス給電の仕組み

前段でもお伝えしましたが、ワイヤレス給電は電源ケーブルの接続や金属電極の接触を行わずに電力を伝送する技術です。ワイヤレス給電は、非接触給電とも呼ばれていて磁界を用いて給電する技術と電界を用いて給電する技術があります。


ワイヤレス給電の種類

ワイヤレス給電にはいくつか種類があり、それぞれ電力を伝える方法や特徴が異なります。ここでは、それぞれどのような仕組みで電力が伝えられるのかを見ていきましょう。

・電磁誘導方式(従来型)
ワイヤレス給電のなかで最も主流なのが電磁誘導方式です。
電磁誘導方式は、接近させた2つのコイルの片方に電流を流すことで、コイルを貫くようにしてもう片方のコイルにも磁束(磁界の強さと方向を示す線の束)が発生し、電流が生まれるという現象を活用しています。
ケーブルへの接続や金属製の接点が必要ないため、現在実用化されているワイヤレス給電製品のほとんどに電磁誘導方式が使用されています。


・磁界共振方式
磁界共振方式は、電磁誘導方式を改良したもので、同じ共振周波数をもつ2つのコイル(送電・受電)の間に起こる磁界の共振を利用しています。
共振とは、同じ周波数をもつ2つのコイルを近づけて置き、一方のコイルに電流を流して振動させるとその影響を受けてもう一方のコイルも振動して新たな磁界を発生させ、その磁界が次は元のコイルに影響を与えるというように、2つのコイルが互いに磁界をキャッチボールしながら共振を強め合い、強い結合状態を生み出す現象のことをいいます。
電磁誘導方式と比べて伝送可能な距離が長く、ある程度位置がずれても給電できるのが特徴です。


・電界結合方式
電界結合方式は、「電界」を利用してエネルギーを伝送する技術で、送電側と受電側にそれぞれ電極を対面させ、片方の電極に電流を流して電極同士を接近させると相手側にも電流が流れる現象を利用しています。
位置ずれの影響を受けにくいという特徴がありますが、送電距離が短く、高い電圧を使用する必要があるため変圧器が大きくなってしまうという課題もあります。


・電磁波方式(マイクロ波/レーザー)
電磁波方式は、送電側で電流を電磁波に変換し、受電側で受信した電磁波を電流に変換する電磁界を利用しています。上段でご紹介した電磁誘導方式や電界結合方式は比較的近い距離でないと給電が行えませんが、電磁波方式は数メートルという離れた距離でワイヤレス給電を行うことが可能です。使用される電磁波はマイクロ波(電波)とレーザーの2種類があります。

ワイヤレス給電の種類 出典:静岡技研工業ワイヤレス給電の種類図


ワイヤレス給電のメリット

ワイヤレス給電を利用することでどのようなメリットが得られるのでしょうか。

・ケーブルからの解放
ワイヤレス給電の最大のメリットは、なんといってもケーブルが不要になるということです。ワイヤレス給電は、電源ケーブルの抜き差しや配線が不要になるので、意識せずに給電ができるようになります。ケーブルの断線の心配もなくなり、メンテナンスフリーを実現します。


・利便性を高める
今まではケーブルに接続したり、決まった場所に置かなければ給電できませんでしたが、ワイヤレス給電が普及することで、生活しているなかで自然と給電や充電が行えるようになります。電池切れの心配をする必要がなくなり、より便利で快適な生活が送れるようになります。
また、今までコストや時間をかけなければいけなかった場面、分野における充電のハードルも下げ、利便性を高めてくれます。


・バッテリー廃棄を削減
ワイヤレス給電を利用することで、廃棄するバッテリーを削減することができます。

ワイヤレス給電には上段で上げたようなメリットがある一方で、下記のようなデメリットもあげられており、こうした課題を解消していくことが求められています。

▼ワイヤレス給電のデメリット
・有線給電よりも充電速度が遅い
・物などが割り込むと充電を妨げる可能性がある
・人体への影響
・コストが高い


ワイヤレス給電の活用事例

ここでは、どのようにワイヤレス給電が活用されているかを見ていきましょう。

・スマホやノートパソコンの充電
一番身近なワイヤレス給電の事例としてあげられるのが、スマホやノートパソコンの充電です。
従来型のケーブルを使った充電は、ケーブルの抜き差しが端子部分の劣化や消耗の原因になったり、機種ごとに最適な端子が異なるため、機種ごとに充電可能なケーブルを選択する必要がありました。
ワイヤレス給電はこうした問題を解決し、私たちが日常的に使用するデバイスの充電を便利なものにしてくれています。
ワイヤレス充電されるスマホ

・電動自転車や電動キックボードの充電
電動自動車や電動キックボードの充電にも活用されています。
最近では、その手軽さから電動自転車や電動キックボードのシェアサービスが人気となっていますが、こうしたサービスは常に使えるようにバッテリーの充電を行わなければいけません。
今まではバッテリーの交換業者が車でポートを回ってバッテリー交換をしたり、自転車やキックボードを回収してまとめて充電を行い、再びポートに返却するという方法がとられていたため、手間とコストが発生していましたが、ワイヤレス給電はこうした課題を解決する存在として活用が進められています。
電動キックボードのワイヤレス充電

ワイヤレス給電技術を使うとこんなこともできるようになる?!


・部屋に入るだけでスマホを充電
ケーブルに接続せずに、決まった場所に置くことで充電が行えるワイヤレス充電が浸透しつつありますが、将来的にはもう一歩先を行き、「その空間にあるだけ」で充電が行えるようになるかもしれません。
この技術が実用化されれば、決まった場所にスマートフォンを置く必要がないため、充電のし忘れを減らし、電池切れを心配する必要もなくなります。


・産業機器や電気自動車の充電
車庫や駐車場などの地面にコイルが埋め込まれることで、産業機器や電気自動車をワイヤレスで充電ができるようになるだけでなく、さらには道路に送電設備を埋め込むという構想もあり、これが実現すれば車で走りながらどこでも給電が行えるようになります。
すでにスウェーデンでは、コイルが埋め込まれた道路の実装が進められており、ワイヤレス充電が可能になっています。




・水中や人体内部のデバイスへの給電
ワイヤレス給電の技術を活用することで、給電のための接点を作るのが難しい水中や体内にある機器に電気を送ることも可能になります。

例えば、海中や海底にある設備の充電を行う場合、充電に使用するケーブルは高額で、ケーブルを接続するために大掛かりな工事が必要でしたが、ワイヤレス給電を活用できれば水中での充電のハードルを下げることができます。

また、医療シーンでは埋め込み型の医療機器を使用する場合、従来は電池を使うタイプのものは定期的に電池を交換する必要があるため、その度にリスクがあり、身体への負担も懸念されてきました。
しかし、こうした医療機器にワイヤレス給電を活用することができれば、体を傷つけることなく充電が可能になるため、医療業界においても技術の進歩に貢献する存在として期待されています。


ワイヤレス給電技術を使ったデジタルサイネージ

さまざまなシーンで活用が進められているワイヤレス給電は、デジタルサイネージ業界でも活用され始めています。
アメリカのデジタルサイネージ企業とイスラエルのワイヤレス給電技術を手掛ける「Wi-Charge」が、ワイヤレス給電によるスマートデジタルサイネージディスプレイを提供しています。
ワイヤレス給電デジタルサイネージ 出典:Wi-charge


一般的なデジタルサイネージは電源がある場所でなければ設置できませんが、このスマートデジタルサイネージは離れた場所から給電が行えるので、電源の有無を気にせず好きな場所へ設置することができます。
現在展開されているモニターのサイズは、7インチと9インチのコンパクトサイズなので、スーパーやコンビニなどの商品棚を中心に導入が進められていますが、このスマートサイネージを活用することで、今まで静止画による情報発信が一般的だった商品棚のような限られたスペースで、動画広告の配信も行えるようになります。
商品棚に設置されたワイヤレス給電サイネージ 出典:Wi-charge
今まで電源の有無やコードの長さなどによって制限されていた場所にも設置できるようになるため、情報発信の幅を広げる存在として期待が寄せられています。


まとめ

以上、今回はワイヤレス給電の仕組みやワイヤレス給電の技術を使ったデジタルサイネージについてご紹介しました。
現在主流の有線給電は、コードを繋がなければならずごちゃごちゃしてしまう上に、電源の確保が必要不可欠です。しかし、ワイヤレス給電はコードが不要で、場所を選ばず利用することができます。
コストや法の整備といった課題はありますが、これから様々なシーンでの活躍が期待されているワイヤレス給電は、わたしたちの暮らしをより便利で快適なものにしていってくれることでしょう。

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