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2021.07.09
飲食店の“非接触サービス”や“業務負担の軽減”をサポートする配膳ロボット
目次
みなさんこんにちは、ビスコサイネージの渡辺です。
最近飲食業界では、コロナウイルスの感染防止対策やサービスの質を向上させるために「ロボット」を導入するケースが増えています。今回は、飲食業界が抱える課題とロボットを活用したサービス事例についてご紹介していきます。
外食産業が抱える課題
1:人件費の高騰&人手不足
日本では、労働人口や最低賃金の引上げなどの影響により年々人件費が上昇しており、過去3年で6%も高騰しています。さらに飲食業界は離職率も高く、人を雇ってもすぐやめてしまうため、従業員を確保することも長年課題となっています。
こうした課題に手を打たずに経営を続けていけば赤字が発生したり、店舗の運営が継続できないため、生産性を向上させる必要があります。
2:業務の効率化
コロナ禍において、飲食店では長期間にわたって営業の自粛や時短営業が求められています。さらには、席数を減らして座席同士の距離をとるといった感染対策を実施しなければならないため、コロナ流行前と比較して客数の減少(=売上の減少)が顕著に表れています。
こうした状況の中で、今まで通りの店舗運営を行っていくのは厳しく、お店を存続させるためには業務を効率化することが急務となっています。
3:非接触ニーズの高まり
世界的に新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより私たちの生活は一変し、国民ひとりひとりが感染防止対策を徹底した行動が求められています。こうした状況の中で、感染拡大の防止には「人との接触」を避けることが重要とされており、最近では消費者行動において「非接触」のニーズが高まっています。
こうした傾向から、飲食店だけでなく、スーパーやコンビニといったさまざまな場所で「非接触」によるサービス提供が進められており、非接触でのサービス提供を行うことで、お客さんや従業員が安心できる環境づくりが実現できます。
飲食店にロボットを導入することで期待できること
飲食店にロボットを導入することでどんなことが期待できるのか見ていきましょう。1:コロナウイルス対策
注文した料理をロボットが運んできてくれることにより、お客さんと従業員の接触を減らすことができます。人同士の接触を減らすことで、新型コロナウイルスの感染リスクを下げることが期待されます。2:接客品質の向上(ホール業務の効率化)
飲食店のホール業務の中で大きな割合を占めていた配膳業務をロボットが行ってくれることで、従業員は細やかなおもてなしを実行することができます。取り皿の交換やお水の追加など、人が行った方がいい接客に注力することで、サービスの質を向上させることが可能です。
3:エンタメ性
ロボットを導入して配膳を行うことで、ただ食事をする場所というだけでなく、利用者に新しい体験を提供することが可能です。特に小さいお子様へのアプローチ力は抜群です。飲食業界での配膳ロボット導入事例紹介
ここでは、実際にロボットを導入している飲食店の事例を3つご紹介していきます。事例1:焼肉の和民
大手外食チェーンのワタミが既存ブランドの「和民」を業態転換して新たに運営している「焼肉の和民」では、配膳ロボットや特急レーンを活用したサービス提供が行われています。同ブランドで導入されている配膳ロボット「PEANUTS」は店舗のマッピングデータと複数のセンサーで自律的に判断し、自動で確実にお客さんのもとまで料理を配膳してくれます。料理を運んでいる途中でお客さんや他の従業員にぶつからないようにするために、走行速度の設定変更も可能となっています。
同ブランドではその他にも特急レーンを使って客席まで料理やドリンクを届ける仕組みも導入しており、お客さんと従業員の接触機会を減らすことで、お客さんの安全を守るだけでなく、従業員も安心して働ける環境づくりを実現しています。
ワタミは同社ブランドの「和民」120店舗すべてを従来の居酒屋からこの「焼肉のワタミ」に全面転換すると発表しており、ロボットを活用した店舗運営が定着していきそうです。
事例2:幸楽苑
幸楽苑ホールディングスは、昨年8月にワタミと同じ配膳ロボット「PEANUTS」の実証実験を開始しました。お客さんがテーブルに設置されたタブレットから料理を注文するとスタッフが調理を開始し、完成した料理をロボットのトレーの上に乗せて、タッチパネルで配膳するテーブル番号を指示するとお客さんの席まで料理を運んでくれます。お客さんが料理を受け取ったあとに、ロボットの音声に従ってセンサー部分に手をかざすと自動で厨房まで戻っていく仕組みとなっています。
同社は配膳ロボットを導入した目的として、配膳時におけるお客さんとスタッフの接触を避けるとともに、店舗スタッフの業務負担の軽減をあげており、ロボットが配膳業務を引き受けてくれることでスタッフは接客業務に時間を割くことができるようになるため、サービスの質を向上させることが期待されています。
事例3:焼肉きんぐ
大手焼肉チェーン「焼肉きんぐ」を運営している株式会社物語コーポレーションは、「焼肉きんぐ」と「寿司・しゃぶしゃぶゆず庵」においてソフトバンクロボティクスが提供している配膳ロボット「Servi(サービィ)」443台を順次導入していくことを発表しています。Serviは360度どこからでも料理が取りやすい設計とタッチパネルで行き先を入力して開始ボタンを押すだけの簡単でわかりやすい操作方法が魅力となっています。また、3Dカメラとセンサーで人とのすれ違いも問題なくおこなえ、カバンなどの小さい障害物も感知して回避することが可能です。重量センサーで重さを感知し、料理の提供を終えたら自動でキッチンに戻っていくのもポイントです。
焼肉きんぐはテーブルバイキングが特徴となっているため、お客さん一人当たり平均十数皿もの配膳があり、スタッフ一人当たりの配膳・下げ膳は1時間に約30回という回数を行っていました。この数字から見てもわかるように、スタッフが配膳などに使う労力はとても大きく、接客に費やせる時間が削られていることが課題となっていました。しかし、ロボットを導入し、配膳業務を任せることで人が本当に行ったほうが良いサービスに注力することを手助けしています。
ロボットができないサービスを人が注力
ロボットを店舗に導入すると聞くと、「今まで人が行っていた作業をロボットが行うことで、人の仕事が奪われてしまうのではないか?」という懸念を抱いてしまう方もいると思います。しかし、私たちの指示通りミスなく作業を行ってくれるロボットは優秀ですが、万能ではありません。例えば、配膳ロボットであればトレイに料理を乗せてお客さんの席まで運ぶことはできますが、お客さんの席を見てお水を継ぎ足したり、取り皿の追加、食べ終わったお皿を下げるといったことはできません。こうした細かいサービスは人だからこそできることです。
今回ご紹介した配膳ロボットを導入している飲食店の事例のように、人が行っていた業務の中でかなりの比重を占めていた配膳という作業をロボットが担ってくれることで時間ができ、人が本当におこなった方がいい接客やサービスに注力することができるようになります。人とロボットがそれぞれに合った作業を連携しながら行っていくことで、店舗運営を円滑にし、
お客さんに満足いただけるサービスの提供を可能としていくでしょう。
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