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2021.10.29
ドライブスルー成功の鍵は「利便性」と「スピード感」?米国の最新事情をご紹介
目次
みなさんこんにちは、ビスコサイネージの渡辺です。
新型コロナウイルスの影響によって、行動が制限されるなか改めて注目されているドライブスルーは各社がさまざまな取り組みを行っています。
今回の記事では、アメリカのファストフードチェーンを中心とした最新のドライブスルーサービスの動向についてご紹介していきます。
ファストフード店を支える「ドライブスルー」
コロナ禍において不特定多数の人が集まる環境、食事中はマスクを外すことが感染拡大の大きな要因となることを懸念され、世界中の飲食店が大打撃を受けました。そんな中、飲食店の中でもファストフード店は順調に売り上げを伸ばしており、それを支えたのが「ドライブスルー」の存在です。
ファストフード業界や私たちの生活に欠かせない存在に
位置情報データを提供する米国のスタートアップ企業「Bluedot社」が18歳以上のアメリカ人1,501人を対象に行った調査によると、2020年8月の「ドライブスルーを訪れる頻度は以前と同じかそれ以上」と答えた人が74%、2021年5月の回答では70%となっており、アメリカでは外出規制などの緩和がされた後もドライブスルーの利用をやめずに多くの人が利用を継続しているという結果となりました。このアンケートから分かる通り、コロナウイルスが終息した後もわたしたちやファストフード業界を中心とした飲食店にとって「ドライブスルー」は欠かせない存在となっていくことが予想されており、各社がドライブスルーへの投資を積極的に行っています。
テクノロジー技術を活用したアメリカのドライブスルー最新事情
従来のドライブスルーというと、紙のメニューボードを見ながらスピーカー越しに音声のみで注文を行うという方法がスタンダードでした。しかし、最近ではさまざまなテクノロジー技術が活用され日々進化を続けています。ここではアメリカファストフードチェーン店のドライブスルーの最新事情をご紹介していきます。
CASE1:屋外でも1対1の対面式接客を導入する
アメリカを中心に展開しているチキンファストフードブランドの「Chick-Fil-A(チックフィレイ)」はドライブスルーでの注文受付、支払い、食事の提供にいたるまで、複数のポイントに分けてお客様の対応をするシステムを採用しています。その中でも特徴的なのが注文受付方法です。同社ではドライブスルーで一般的なスピーカーボックスを利用する方法ではなく、iPadを持ったスタッフがドライブスルーの列に並んでいるお客さんの注文を取りに行くという方法を採用しており、屋内と同様の1対1での対面接客を実現しています。
一見、対面での接客をおこなうことで通常よりも時間がかかってしまうように感じますが、実際にはスピーカーボックスを使ったドライブスルーの2倍の速さで車を進めることができているそうです。店内と同様のface-to-faceの接客を維持しつつ効率的ということもあり、他社でも同様のサービスが広がりを見せています。
Chick-Fil-Aのドライブスルー(出典:QSR MAGAZINE)
CASE2:ドライブスルーレーンに特化した「Taco Bell」
アメリカ発祥のメキシコ料理のファストフードブランド「Taco Bell(タコベル)」は、店内飲食からの脱却を図り、ドライブスルーでの顧客体験を最適化するためにモバイル注文の受け取りに特化した「Go Mobile」と称された店舗の拡充を行っています。こちらの店舗は従来のドライブスルーレーンでの注文と専用アプリから注文した商品を迅速に受け取れるレーンに分かれており、お客さん自身が好きな方法を選択することが可能です。
従来のドライブスルーレーンでの注文は上段で紹介したチックフィレイと同じ、専門のスタッフが注文を受けるスタイルを採用しています。
2021年8月中旬、同社はさらに新しい店舗構想として「Defy」と名付けられた未来型店舗モデルを発表しています。
この店舗は2階建てとなっており、4つのドライブスルーレーンを備えたドライブスルーに特化したタイプの店舗です。4つのうち1つは従来型のドライブスルーレーン、残り3つはモバイルオーダーやデリバリーの受け取り専用のレーンとなります。
また、レーンにはデジタルチェックインスクリーンが設置されており、モバイルで注文した人はQRコードで注文内容をスキャンすることで非接触型のリフトシステムを介して商品を受け取ることができます。
通常のドライブスルーでの注文の際はテレビ電話形式で対話を行いながらのオーダーが可能です。
Taco Bell未来型店舗「Defy」イメージ(出典:QSR MAGAZINE)
CASE3:テイクアウトやデリバリーさまざまなオプションを提供するKFC
KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)の米国における売上は2021年第一四半期に前年比50%増となり、ドライブスルーの売上が全体の約80%を占めるまでになりました。こうした流れを受けてKFCはカーブサイドデリバリー(オンライン注文した商品を駐車場で受け取る)やデリバリー用の駐車場、店舗内のセルフオーダーキオスクなどが多く採用されています。
また、モバイルやデリバリー商品のピックアップシェルが設置され、商品が厨房から受け取り棚に移される際に、スタッフとお客さんの接触を減らす役割を担っています。
さらに都市型の店舗ではイートインでの利用を限定、もしくは非対応としており、ドライブスルー、デリバリー、非接触型ピックアップの注文に完全に特化した店舗を増やしています。
ドライブスルーでの体験を合理化するKFC(出典:QSR MAGAZINE)
ドライブスルーを成功させる要素
上段でご紹介したように、アメリカのファストフードチェーンがドライブスルーに対する新たな取り組みを進めるなか、各社が共通して注力しているのが「利便性の向上」と「待ち時間の短縮」です。この2つのポイントに注力する理由は、ドライブスルーでは少しでも行列をなくし、早く商品の受け渡しができることが顧客満足度とリピート率の向上に大きな影響を与えるためです。
例えば、ドライブスルーでケンタッキーをテイクアウトしようと思ったときに、順番待ちの車が道路まで伸びていたら利用するのをやめてしまいますよね。がんばって列に並んで注文ができても商品を受け取るのにさらに時間がかかってしまったら、次に利用するのを躊躇してしまいます。
こうした事態を避けるためには、ユーザーニーズを考慮しながら、従来のドライブスルーにはなかったモバイルオーダーなどを導入し、サービス提供のスピード感、利便性を向上させる必要があるのです。
では、ユーザーはドライブスルーにどんなことを求めているのでしょうか?
Bluedot社が実施したドライブスルーに関する調査によると「ドライブスルーに求めるもの」として65%の人が「モバイルオーダー」と回答しました。
また、QSRマガジンが行った同様の調査でも「未来のレストランに求めるもの」として50%の人が「モバイルピックアップ専用のドライブスルーレーン」と回答しており、モバイルオーダー×ドライブスルーに関するニーズがあることがうかがえます。
また、ユーザーはこうした先進的な取り組みを求める一方で、ドライブスルーをリピート利用する要因として「注文を確認できるデジタルメニューボードがあること」と回答した人が40%を占める結果となっています。QSRマガジンが行ったドライブスルーを利用する要因として大多数の人が「オーダー確認画面があること」と回答しており、ドライブスルーにおけるデジタルメニューボードの重要性も明らかになっています。
メニューボードのあり・なしでドライブスルーのサービスにかかった時間を比較した表がこちらです。
デジタルメニューボードあり(出典:QSR MAGAZINE)
デジタルメニューボードなし(出典:QSR MAGAZINE)
結果を見てもらうと分かるようにデジタルメニューボードの有無はユーザーが商品を注文する際の利便性を高めるとともに、サービス提供のスピードにも大きく影響を与えているということがわかります。
オーダー方法・受け取り方法のオプションを増やすだけでなく、メニューボードを設置するなど注文環境を整えることもドライブスルーサービスを向上させるにあたって重要な要素と言えるでしょう。
まとめ
新型コロナウイルスの影響によってファストフード店や消費者を取り巻く環境は大きく変わりました。ドライブスルーが再び注目を集めるなか、各社が最新技術を活用しながら最適なドライブスルー体験を提供するために奮闘しています。
ユーザーに満足してもらうサービスを提供するためには、注文方法や受け取り方法だけでなく、ドライブスルーにおけるすべてのポイントでユーザーにとって何がベストなのかを考慮することが求められます。
今後各社がどのような取り組みを実施していくのか目が離せません。
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