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2021.05.07

売上の大半を支えているのは「ファン」?!注目の「ファンマーケティング」とは?

みなさんこんにちは、ビスコサイネージの渡辺です。
みなさんは「ファンマーケティング」という言葉を聞いたことがありますか?このファンマーケティングは様々な企業が取り組みを始めていて、今注目を集めるマーケティング手法です。
今回は、そんな「ファンマーケティング」について事例を交えながらご紹介していきます。


日本でのマーケティング課題

従来のマーケティング活動においては「新規顧客獲得」が重要課題としてあげられました。そのため、不特定多数のターゲットに対して自社商品を購入してもらったり、サービスを利用してもらうことを目標としてさまざまなアプローチが行われてきました。

しかし、日本では人口の減少や超高齢化社会が進んでおり、これらのことが要因となって市場全体が縮小し続けているという現状があります。
顧客となる人が年々減っていくなかで、今までのように新規顧客を増やし続けていくのは難しいとされています。
そんな中、すでに自社の商品やサービスを愛用してくれているユーザーを大切にしてLTV(ライフタイムバリュー)を上げていくほうがコストも安く、効率的であるという考え方が広まっています。それが「ファンマーケティング」です。


ファンマーケティングとは?

「ファンマーケティング」とは、従来のマーケティングの考え方とは違い、自社ブランドや商品のユーザーに着目し、継続的にコミュニケーションをとることで自社の「ファン」になってもらうことで、中長期的なスパンで繰り返し商品の購買をしてもらったり、サービスを利用してもらうことを目指すマーケティング手法のことを言います。
つまり、新規顧客獲得に重点を置くのではなく、すでに自社の製品やサービスを利用してくれている既存のユーザーに「ファン」になってもらうよう活動を行っていくという考えです。

なぜ「ファン」になってもらうことが大切かというと、商品やブランドへの愛が深いお客さん(=ファン)は、ブランドスイッチを行う可能性が低いという特徴があるからです。
また、ファンになってくれたユーザーは自社の商品・サービスへの関心や購買意欲を継続してくれるだけでなく、自分の周りにいる人へ積極的に発信もおこなってくれるため、新規ユーザー獲得の機会を作ってくれるという傾向があります。


売上の大半を支え、伸ばしてくれるのは「ファン」?!

みなさんは「パレートの法則」という言葉を聞いたことがありますか?ビジネスの世界でよく使われている言葉で、「80:20の法則」ともいわれているのですが、ファンマーケティングの背景にはこの「パレートの法則」の存在が深く関係しています。

「パレートの法則」とは
「上位20%のお客さんが売り上げの80%を占めている」、「商品の売上の80%は全商品の中の20%が生み出している」といったように、成果の大部分が全体の一部によって生み出されていることを示しています。
これはビジネスシーンにだけ当てはまるものではなく、「仕事の成果の8割は時間全体の2割で出している」、「ホームページの2割のページに全体の8割のアクセスが集中している」といったようにさまざまな事象に当てはまる法則と言われています。

例えば、パレートの法則を飲食店に当てはめて考えてみると「80%の売上は20%の熱狂的なファンが生み出してくれている」ということになります。
企業活動を行う上で、新規のお客さんを獲得することに目を向けがちですが、実際は熱心なファンが頻繁にお店を利用したり、何度も商品を購入してくれることで自社の売り上げが支えられているということですね。
そのため、新規顧客獲得よりも自社のファンに向けてアプローチを進めていくことのほうが先決だということです。こうした取り組みが結果的に安定した売上をもたらすことはもちろん、売上を高めることを期待できるのです。


「情報爆発時代」ではファンが新規顧客を増やしてくれる

今までのマーケティングではマス広告を活用したものが主流で、とにかく多くの人に向けて情報発信を行うことが良いとされ、一方通行のコミュニケーションが当たり前でした。ユーザーは一方的に与えられる情報を無条件で信用し、購買行動を起こしていました。
しかし現代では、デジタル技術やSNSの爆発的な普及によりいまだかつてないほどの情報が私たちの周りには溢れ、情報の在り方や扱い方が大きく変化しました。
今まで一方通行で行われていたコミュニケーションが双方向で行われるようになり、消費者は自分が欲しい情報を簡単に取得できるようになりました。場所を選ばずに世界中の情報を取得することができるようになったため、消費者は一方的に発信される情報を鵜呑みにするのではなく、情報を取捨選択して、自らで確認する。
そして自分が良いと思うことを発信するということが当たり前のように行われています。

こうした流れから、一方的に情報発信を行うマス広告が消費者の購買行動に及ぼす影響は減少しており、それよりもその商品やサービスのファンである身近にいる家族や友人、ネットでつながっているコミュニティからの熱意が感じられる口コミの方が消費者の購買行動に影響を及ぼすという時代になっています。
こうした時代の影響から、自社の熱狂的なユーザーが新しい顧客を呼び寄せてくれるという効果が期待できるのです。

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ファンマーケティングの成功事例

ファンマーケティングを行っていくには、やみくもに何かをやるよりも、ファンが支持してくれているところや、なぜ自分たちが愛されているのかというところを明確にした上で「ファンはこんなことを求めているのではないか」という仮説をきちんと立てて活動を行っていくことが必要です。
ここでは、ファンマーケティングを成功させている企業の事例をご紹介していきます。

事例1:倒産の危機を救ってくれた「ファン」を大切にするヤッホーブルーイング

「よなよなエール」で全国的な知名度を得ているヤッホーブルーイングは、マーケティング活動の中心に「ファンマーケティング」を置いています。
同社がファンマーケティングを徹底するのは1997年の創業直後、経営が安定せず倒産の危機に直面していたときに「よなよなエール」を買い、支え続けてくれていた「熱狂的なファン」の存在に助けられたからだそうです。
ヤッホーブルーイングでは同社の商品を身近にいる家族や友人におすすめしてくれる「熱狂的なファン」や「伝道師」を「ファン」と位置づけ、オウンドメディアやFacebook、Twitterでの情報発信に加え、醸造所の見学ツアーや数千人のファンを集めて同社の商品を飲んで楽しむイベントの開催などを行っています。
自社のファンとこうしたイベントを行って一体となって楽しむことで「企業と消費者」という関係を超えた結びつきが築かれていきます。

同社のファンはファン自身がヤッホーブルーイングの商品に関するイベントを開催してしまうほど熱狂的で、自主的に自身の家族や友人に「よなよなエール」や他の商品のことをおすすめしたことで興味をもってくれた人がまたヤッホーブルーイングという会社に興味を持ち、ファンになってくれるという流れができました。ヤッホーブルーイングはファンマーケティングを進めることで、熱狂的なファンの確保と共にファンを介した新規顧客の獲得を成功させました。

よなよなエールイメージ 出典:ヤッホーブルーイング

事例2:ユーザーとの接点の「質」にこだわった H&M

H&Mジャパンは、2019年4月に会員向けプログラム「H&Mクラブ」を「H&Mメンバー」に刷新しました。
これまで同社はユーザーとの接点の数に重点を置いていましたが、今回の変更により「接点を持つ回数」よりも「接点の質」にこだわることを重視し、顧客の属性や購買データを分析して、顧客一人一人が求める情報や特典「のみ」を送るといったアプローチに変更しました。
その結果、店舗に来店したユーザーと店員との間にコミュニケーションが発生するようになりました。それぞれに合った情報の配信をおこなうことでユーザーが興味を持ち、アプリの説明や現在提供している特典の情報を提供する機会が増え、顔見知りのお客さんも増えたそうです。

また同社が行ったファンを熱狂させる企画として、H&Mのユーザーに対して世界各地で開かれるファッションショーにH&Mジャパンのファン(優良顧客)を参加させるというイベントを実施しました。ファンと言っても一般人なので、H&Mジャパンがファッションショーに参加させることができるのはせいぜい2人でしたが、希望者に応募理由をしっかりと尋ね、参加者を厳選しファッションショーに送り出しました。ファンの中でも熱狂的なファンである2人のためだけにこの企画を実施したのです。一般的にファッションショーは、有名人やインフルエンサーといった人たちでないと参加できるチャンスがほとんどないものです。
しかし、こうした有名人たちがファンになって商品を購入してくれるわけではないので、普段自社製品を愛用してくれているファンにこそファッションショーに参加し、体験してもらうことで、普段味わえない雰囲気を感じてもらいたいという想いから実現しました。
参加したファンがSNSに投稿したコメントからは、本当に感激している気持ちが伝わってくる内容になっており、こうした発信が新たなユーザーを呼び込む材料となったそうです。

H&Mの取り組みイメージ

まとめ

今回ご紹介した「ファンマーケティング」は、短期的な売上げの獲得を目指すものではなく、中長期的なスパンでユーザーとの関係を構築することで、企業そのものの価値を上げていくという取り組みです。
「ファンマーケティング」を行う上で大切なことは、自社のユーザーはどういったところが気に入って自社の商品やサービスを利用してくれているのかということを理解し、何を提供することでより熱狂的なファンになってもらうかを考えることです。これからはどの業界においても、「ファンを作る」ということが大切なポイントになっていくでしょう。

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